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2017/4/25〜29 渡邊
福島の花巡り〜独り自炊湯治編〜
自炊湯治の4回目。一般道をひたすら走って、三春の桜・土湯温泉の水芭蕉・猪苗代町の桜・喜多方山都町の「鏡桜」・会津昭和町の水芭蕉を訪ねる4泊5日の旅。桜満開の里山から残雪の山々そして新緑の萌える村々を巡った。
4月25日(火)
小沢の桜
4時に家を出る。朝光を狙って福島県の三春には夜明け前に着きたかったのだが、「若くないのだから夜中の運転だけはやめてくれ」と女房に懇請され、この時間になった。

明るくなり始めた国道6号を水戸まで出て、118号に入り須賀川方面に向かう。6号はちょうど進行方向右手から低く陽が出て、川沿いや低地状の田畑から立ち昇る霧が逆光になってとても印象的だ。これだからこの時期の早起きは捨て置けない。

6号も118号もほとんど信号で捕まらずにすむ。最初の三春町の「紅枝垂れ地蔵桜」には8時40分ごろに着く。そこから「小沢の桜」に回る。時間的に光が上になりどうも平凡な写真しか撮れない。

ここ三春は有名な「合戦場のしだれ桜」もちょうど見頃で、どこもかしこも桜・桜。それも枝垂れ桜の古木があちこちにある山里だ。ここから土湯温泉に向かう。

時間がたっぷりあるので、火事で焼失してしまった土湯温泉「不動湯」近く仁田沼の水芭蕉を偵察に行く。花は盛りを過ぎつつあったが夕方の光を待って撮影する。ときおりハイカーとすれ違うが熊が出そうで気味が悪いほど人の気配がない。カタクリやキクザキイチゲも咲いていた。ここは4年前の同じ時期に訪れている。

陽が傾きだした4時近く土湯峠に向かって山道を登る。磐梯吾妻スカイラインの旧料金所(現在は無料開放)近くの山の一軒宿、赤湯温泉「好山荘」が今回目的の自炊の宿である。
紅枝垂れ地蔵桜
仁田沼の水芭蕉 カタクリ
4月26日(水)〜27日(木)
赤湯温泉のマスコット「小次郎」君
天気予報では崩れ始めると言っていたがなんとかもちそうだ。ここは標高1,000mを超える。当然この時期の宿の周囲は積雪が1mを超える。気温は2〜3℃。だが温泉があるから冷えた身体にはありがたい。ここの湯は名前の通り鉄分を含んだ赤い湯。身体を拭くとタオルが赤くなりとれなくて困る。ほかに白濁した露天風呂もある。

好天は期待できないのだが磐梯吾妻スカイラインを中間地点の浄土平まで行ってみる。道路は無料だが雪に囲まれた駐車場はなんと有料。前にも何度か訪れているし、ばからしいので料金所前でUターンする。暇そうにしていた受付嬢が怪訝な顔をしていた。

時間を持てあましていたので、明日の予定にしていた猪苗代町に向かうことにする。途中、自炊の宿専門の横向き温泉「中ノ湯」に立ち寄り、湯に入る。浴槽の下から湧出している単純泉だがとても肌に気持ちのいい湯だ。300円で入れるのだが女将は玄関脇で作業中、まったく愛想がない。だれもいない玄関上がり口に無造作に置かれた菓子箱に金を入れる。
さらに山を下り猪苗代町に出るが町内にある亀ヶ城跡の桜は完全なつぼみで、黄色のスイセンだけが春を感じさる。ここの桜と雪の残った磐梯山の対比を考えていたのだが残念ながら空振り。
近くの「白津の枝垂れ桜」「観音寺川の桜」も、つぼみが堅い。どうやら2週間ほど季節の移りが遅れているようだ。これらの桜の名所は磐越西線の川桁駅近くにあって、昼食を予定していた「きまぐれそば七」も同じくこの近く。
ところがお馬鹿なナビはいっこうに蕎麦屋の前に連れて行ってくれない。電話で問い合わせながらやっと店に着く。ここの蕎麦は十割の太め。メニューは「もり」と「ぶっかけ」のみ。ぶっかけは辛み大根と鰹節の載った蕎麦の上に汁を文字どおりぶっかけただけだが、豪快で田舎風でこれはこれでいい。大盛りをのせいかお腹いっぱいになった。
午後は早めに宿に帰る。その後雨が降り出し本降りになった。
赤湯温泉近くからの展望
赤湯温泉の赤湯 赤湯温泉の露天風呂
磐梯山とつぼみの桜 横向き温泉「中ノ湯」
4月28日(金)
すっかり花は散ってしまった「鏡桜」
天気はよさそうでしかも時間たっぷりある。今は無料の磐梯吾妻レークラインを経て五色沼へ出る。裏磐梯も例年より雪解けが遅い。水芭蕉が所々咲いているくらいで、芽吹きも桜の色もまったく見あたらない。湖畔は雪また雪だ。見どころもなく五色沼を散策するにも残雪で道がわからない。

道の駅裏磐梯でゆっくりして「桜峠」の桜に寄るがつぼみが堅い。ところがその近くに水芭蕉の群落があった。これは意外で自然のもののようだ。

水芭蕉撮影後は明日夜明けの「鏡桜」の撮影の下見に喜多方市山都町へ向かう。ところがどうだ。全体的にこの地方の桜の開花遅れから考えて当然まだつぼみか、あるいはせいぜい二三分の開花と思っていたが今年はもうすっかり花が散っているではないか。4年前に来たときは満開だったのに……。明日夜明けに意気込んで撮影に行く必要がなくなった。午後1時を回ったばかりだったが本日の宿に行くには早すぎる。近くの棚田に咲く満開の桜を撮影しながら時間をつぶす。

返途、偶然通りかかって見た「日中線の枝垂れ桜」は満開だった。この桜並木は喜多方を代表する花見の名所だ。
日中線の枝垂れ桜
4月29日(土)
昨夜は喜多方の民宿「えびすや」に泊まる。ここは今回初めての2食付き。夕食は大きなタラの芽2本とフキノトウ、それにアスパラの天ぷらを出してくれた。宿で育てているというタラの芽はやわらかく、アスパラも新鮮で、フキノトウはいうまでもなく口に春の幸せを運んでくれた。
朝食は「朝ラー」だと言って平然と喜多方ラーメンを出され、意表を突かれたが味はよかった。昨日の「鏡桜」の様子を聞いた女将がぜひ会津美里町の伊佐須美神社に行けと言う。そこの薄墨桜は今が満開のはずで、その桜は満開時には甘い匂いがする、とまで勧める。
薄墨桜は確かに満開で、花の中心がピンク色をしていたのは女将の話どおり、しかし私には匂わない。おまけに天然記念物にもかかわらずたいした老木でもない。原因はわかった。何年か前に中心の太い幹が切り取られていたのだ。とにかく写真に向かない。今回桜撮影はさんざんだ。

いよいよ最後に昭和村の博士山麓にある「水芭蕉としらかばの杜」に向かう。事前情報だと国道401号はまだ残雪で博士峠が不通だそうだ。121号会津西街道を会津田島まで迂回して行く。ここの水芭蕉は残雪とのコラボがいい。おまけに自然がたっぷりしている。
博士山山麓の水芭蕉
水芭蕉 どうにも様にならない薄墨桜
撮影後は121号・400号と出て4号をひたすら走って帰路についた。
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